屋根修理の注意点
金属屋根など軽い屋根は、柱の太さや壁の強度を小さめに設計している可能性があります。
そのため、金属屋根から瓦などに葺き替える場合は、念のため柱の太さや壁の強度を確認しておきましょう。逆に、瓦葺きから金属屋根やカラーベストに葺き替える場合は、建物強度に関する問題は生じません。
また、屋根工事は屋根下地があって初めて屋根材が葺けるので、その下地工事も見逃してはいけません。
屋根パネルタイプは、建方後に目地板などを打って、屋根の防水工法としてアスファルトルーフィングシートを張り、屋根材を葺いていくだけなので、相当施工が悪くない限りは雨漏りなどの心配はないですが、棟部や谷部、天窓などの防水処置を怠ると雨漏りの原因となります。
小屋組タイプは、垂木などを母屋に流して、その上に野地板(構造用合板)を打ち付けていくという作業があるので、屋根パネルタイプより作業工程が増えます。
その後の工程は屋根パネルタイプと同じですが、野地板(構造用合板)の垂木への釘止めやビス止めの打ちそこない、締めそこない、釘やビスの長さ不足、などの問題が良く見受けられます。また、垂木などを母屋に固定する際、金物との接合部の釘やビスの数量不足や長さ不足もあります。
防水屋根タイプの場合、石綿スレート葺きなどに比べれば、技術力で施工の良し悪しが決まります。
設計の段階で構造計算上、重量を見込んでいると思いますが、念のために大丈夫かどうか確認しておきましょう。
シート防水屋根は軽量で耐候性が非常に優れていますが、非歩行や軽歩行タイプがほとんどで、屋上として利用する場合は、接着面や継ぎ目に負担がかかってはがれたり固定金具が外れたりする場合もあります。
屋根を葺き替える際、現在の屋根材から違うものに替えたいと思うこともあるでしょう。
しかし、屋根勾配によっては、違う屋根材に変更できない場合があります。
屋根の勾配は「○寸勾配」で表します。これは3角形の屋根の底辺に対して、頂点までの高さの比率を寸で表したものです。
たとえば、4寸勾配は底辺が10のときに高さが4になります。屋根材ごとの最低必要勾配は、金属葺きで1寸勾配以上、スレート葺きで3寸勾配以上、瓦葺きで4寸勾配以上が必要です。
屋根材ごとに必要な勾配が異なるのは、それぞれに吸水率が違うからです。瓦の吸水率は20%、化粧スレートは9%、トタンなら0%です。瓦は他の屋根材よりも雨水を多く吸収するので、勾配を大きく設計しなければ雨が流れません。
もし、2寸勾配などの緩い勾配にすると、瓦と瓦の間から雨が吹き込んでしまいます。
つまり、既存の屋根が金属やスレートなら瓦に葺き替えられない可能性もあるというわけです。
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