屋根の形
切り妻屋根
本を半分開いて伏せたような形の屋根です。最も一般的に用いられます。
シンプルな造りの為、コストが安く、雨漏りの心配も少ないのが特徴です。
片流れ屋根
片方に全面的に傾斜している屋根で、簡易な建物(物置など)にも利用されます。
そのシンプルなデザインは雨漏りが最も少ない屋根といわれています。
雪が流れ下りた先が隣の敷地の場合、トラブルになりやすいので注意が必要です。
寄せ棟屋根
四方に向かって傾斜した屋根で、上方に棟があります。住宅に多く用いられます。
とても頑丈で台風などの風圧に強い形状と言われている一方で、切妻などと比べると、屋裏換気が若干弱いようです。
半切り妻
切妻屋根の棟の両端の部分を斜めにカットして流れをつけたもので、道路斜線や日影規制など法的な制約から使われることが多いです。
入母屋屋根
切妻屋根の妻側に屋根下部から途中まで寄棟屋根のように屋根を架けたものです。和風で高級感のある外観になります。
陸屋根
水平またはほとんど勾配がない屋根で、平屋根(ひらやね)ともいいます。
一般的には、鉄筋コンクリート造建築に用いられ、屋上の利用が可能です。
豪雪地帯では落雪事故を防ぐため、鉄筋コンクリート構造で陸屋根を採用する住宅が増えています。
越屋根
切妻屋根の中央の一部を上に持ち上げたような屋根です。立ち上がり部分を利用して、換気、採光をとることができます。
差しかけ屋根
1階部が2階部より広い場合、2階部の外壁に接して設けられた片流れ屋根を指します。
しころ屋根
寄棟屋根の上に切妻屋根を乗せたような屋根です。外観上は入母屋屋根に似ています。
のこぎり屋根
のこぎりの歯の形をした屋根です。歯形の垂直な部分で採光できるため面積の大きな工場などに用いられます。
はかま腰屋根
切妻屋根の妻側に屋根上部から途中まで寄棟屋根のように屋根を架けたものです。
バタフライ屋根
切妻屋根の形を逆にしV字形にしたものです。切妻屋根の棟が逆になり、谷になった形をしています。
方形屋根
一つの頂点から四方あるいは八方に向かって同じ角度で傾斜した屋根です。平面が正方形、八角形の建物に見られ、社寺建築に用いられる例が多いです。
招き屋根
切妻屋根の片面が短く片面が長いものです。片側の壁が高くなるのでロフトが設けやすいです。
マンサード
2種類の屋根勾配が合わさった形状の屋根です。屋根裏を広くとれるメリットがあります。
北海道ではよく見かけますが、九州地方ではほとんど見かけません。ヨーロッパ調でもあります。
かまぼこ屋根
名前の通りかまぼこの形状の屋根です。R(アール)屋根とも言います。
どこのどなたがパイオニアか知りませんが、そのモダンなデザインは最近の住宅にしばしば見受けられます。
屋根材料
金属系
最も軽量で、アールを含めて自由な形状に屋根を造ることが出来ます。
最近では超耐候性鋼板のガリバリウム鋼板などを使った屋根が多く使われています。
また、亜鉛メッキ鉄板もよく使われており、屋根の勾配も緩くすることができます。
しかし、材料そのものに断熱性能がないので、屋根の下の断熱対策が必須となり、雨音などの防音も考えておく必要があります。
スレート系
石綿とセメントをミックスして作る石綿スレートが代表的です。最近では無石綿のものも開発されました。
特長は軽く、カラーも豊富な点です。
割れやすいという欠点もありますが、差し替えも容易です。
天然スレート以外は屋根材の表面を着色している材料が多いので、10年以上経つと色落ちが始まり、表面だけを塗り直す必要があります。
瓦系
日本瓦、洋瓦と一括りでは言えないほど、形状も形も様々です。
ただ、材料自体が重いので、耐震性が上の2つの屋根材を使う建物よりも強いものが要求されています。
日本瓦は日本の風土にあっているため、耐水性、断熱性、遮音性、耐久性などの面で大変優れています。
反面、重い、コストが比較的高い、割れやすいという欠点もあります。
一度葺いてしまえば、メンテナンス不要なほどの耐久性があります。
屋根の種類
化粧スレート
形状は平型が一般的です。
9mm以上といった規定はあるものの、陶器瓦などと比べると非常に軽く、価格も安いといったことが挙げられます。
化粧スレートのことをカラーベストという方が多いのですが、カラーベストは実は旧クボタの商品名です。
圧倒的な販売量の影響で、化粧スレート=カラーベストと認識している方が多いようです。
塗料の種類によりますが、8~20年に1度の塗り替えが必要です。
天然スレート
天然石ですので1枚1枚表情が異なり、それに魅力を感じる方も多いでしょう。
また、酸やアルカリにも強く、水を通しにくい材料のため、耐久性も非常に高い材料です。
日本ではそれ程天然スレート葺は普及していませんが、ヨーロッパでは見ることができます。
高価で、重い材料のため、それを考慮した構造が必要になります。
厚形スレート
J形(和形)、S形、F形(平板)などがあります。洋風、和風など、どんな外観にも採用できます。
最近は住宅の洋風化に伴い、洋式や平形が多く商品化されています。
熱を加えないため、膨張収縮の影響を受けにくく、精度が高いといったことが最大の特徴です。
価格やバリエーションの豊富さは化粧スレートのほうが勝りますし、見た目の重厚感は陶器瓦のほうが優れています。
また、定期的なメンテナンスが必要になるところなど、あまりメリットとして挙げられることが少ないのが現状だと思います。
コンクリート瓦
コンクリート瓦は厚形スレートと同じ材料で構成されますが、厚形スレートよりセメント量が少ない硬練りのモルタルで製造します。
オーストラリア・モニエル社と高圧・半乾式成形の技術を共同開発し、昭和48年に日本に技術導入されたことから、モニエル瓦と呼ばれています。
形は洋風タイプの洋形と平形があります。
ガルバリウム鋼板
心材となる鉄の腐食を防ぐために、アルミニウムと亜鉛、珪素で防食性を持たせた鋼板です。
積雪寒冷地、海岸地域、 強風地域はもとより、最近問題になってきている酸性雨や 公害地域でも使用できます。
また耐久性の高いシリコンやフッ素樹脂の塗膜をしていることから、長期間メンテナンスが必要ない商品もあります。
1972年にアメリカで開発され日本に入ってきましたが、近年のステンレスや銅の価格高騰などにより、ガルバリウム鋼板への切り替えが増えています。
開発メーカーから出されるめっき皮膜寿命ですが、沿岸地域などの塩害が考えられる地域では15年、工業都市、田園地域で25年となっています。
銅板
さびない金属として、古くから屋根や破風などに用いられることが多かった銅ですが、銅の急激な値上がりから最近では使われることが少なくなってきました。
銅の表面に緑青が出てくると、住宅を落ち着いた雰囲気に見せることができるとともに、経時劣化が非常に緩やかになり、耐久性が上がるという機能面でも期待できる材料です。
近年の酸性雨の影響などから銅板であっても穴が開くといった被害があるようですが、酸性雨だけでなく、いぶし瓦と銅板を組み合わせることで、銅の劣化を促進し、穴が開くなどの被害が考えられるようです。
屋根瓦との組み合わせも十分に注意するようにして下さい。耐久性は50年程度です。
価格と耐久性のバランスから、現在では0.35mmか0.4mmの物を使用することが多いようです。
陶器瓦
J形(和形)、F形(平板)、S形等があり、和風・洋風の外観に合わせた陶器瓦を選択することが可能です。
釉薬瓦とも呼ばれ、プレス成形した瓦形の素地に釉薬(うわ薬)をかけて、窯の中に入れて高温で焼き上げた瓦をいいます。
瓦表面に塗る釉薬がガラス質のコーティング材となりますので、雨が瓦内部に浸透して割れたり劣化することがなく、耐久性・対汚性に優れます。
いぶし瓦
本葺形、J形(和形)、S 形、F形(洋形・平形)などがありますが、いぶし瓦で多いのは、本葺形、J形(和形)です。
深い銀色で古くからお寺や日本家屋に使用されてきました。
安土桃山時代に織田信長が安土城を造らせた際に中国から伝わったという説が最も有力らしいのですが、その歴史は1400年以上と非常に古いものになります。
現在は松材などで燻すのではなく、LPガスなどの炭化水素を含む工業製品を代用したものが多く製造されているようです。
いぶし瓦は表面を覆う炭素膜によって、防水や色彩を保っていますが、炭素膜の劣化が瓦の寿命となります。
陶器瓦の耐久性が半永久的であるのに対し、いぶし瓦は30 ~50年ほどです。
無釉瓦
粘日本でもS形が製造されています。
素焼き瓦によってヨーロッパ調の外観の雰囲気に仕上げることができるため、ヨーロピアンの住宅にしたい方にお勧めです。
土をそのまま窯で焼くため、光沢のない優しい朱色の自然な仕上がりが特長的です。
スペインやフランスなどのヨーロッパの瓦ではよく見られるものです。
耐久性は比較的長く、40~50年とされています。
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